MVで見るicon girl pistols10年史 No.5「僕はビートルズを辞めた」

5.僕はビートルズを辞めた - I Quit the Beatles -

元々quizmasterというアンサンブルの細部にまでこだわる音楽グループをやっていたところから一転して、icon girl pistolsを始めることになったのには、衝動的に演奏したいという欲求が理由にあった。

だから、ドラムの健と2人キリであれば和声を担うのは自分1人なので、幾らでも自由に演奏できると考えたわけだ。決まった事を徹底的に守って演奏するのもいいが、反射神経が時に生み出すエネルギーはハンパなかったりする。

2ピース時代のicon girl pistolsはライブ中に敢えて展開を伸ばしたり縮めたりしたし、4ピース、3ピースになってもセットリストは決めずにライブに臨むのが好きだった。パッと集まってパッと音を出せる事がこのバンドの何よりも大事なポイントなのである。

5人組としてしばらく活動を続けていたバンドは、この大事なポイントを完全に欠いてしまっていた。5人で音を出すにはそれなりの交通整理とルールが必要になる。以前よりもエンターテインメント性の増したメンバー構成であったため、音を整理しながらなんとか5人の活動を続けようとしていたが、結局それではicon girl pistolsでは無かったのだ。一定の期間を経過したところで、スチュワートとゴールドフラッシュと話し合い、理解してもらった上で2人同時にバンドから抜けてもらうことになった。

その後3ピースに戻ってどのくらい活動していたのか、それから脱退の時と同様どのような経緯でそうなったのか、記憶が曖昧だがとにかくギターのタカシがバンドに復帰する運びとなる。3人だとゲストを入れたりメンバーを増やしたりと試行錯誤していたし、5人だと結局のところ人数が多すぎた。icon girl pistolsは4人である事を求めていたし、その最後の1人が勝手知ったるタカシであることは、他のピストルズ達にとっても願っても無いことだったのである。

3人編成から5人編成に移行した時と同じように、MVを作ってそこにタカシの復帰を仄めかすことにした。「僕はビートルズを辞めた」というタイトルの曲がそのMV用楽曲に決定した。

詩を読んで貰えば分かると思うが、この曲はラブソングである。みんなから賞賛され憧れられるようなバンドのメンバーだった主人公は、突然そのバンドを脱退しソロ活動に転向する。それを周囲は不思議だ、勿体ないなどと言う。でもこの主人公が必要としているものと、世間一般がイメージする成功との間には大きな乖離があり、主人公の彼はただ自分だけに向けられた愛を求めているといった話。

白いピアノだとかはジョンレノンを想像させるモチーフではあるけれど、彼はノーベル賞を受賞していないし、勿論これはジョンとヨーコの物語では無い。バンドに限らず、ある一連の流れからの転向は周囲の勝手な想像を招いたりするものだが、結局のところ本人にしかあずかり知らぬことである。

で、結局何がタカシの復帰を仄めかしてるかというと、1:23、3:45に一瞬映るギター演奏のアップがタカシの映像であり、1:57あたりで映るメガネがタカシのものであるという所。んなことで分かるわけないよね。
ss
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僕はビートルズを辞めた

僕は恋人のお陰で
やっとバンドを辞められた
僕が辞めたバンドの名前は
ザ・ビートルズ

名曲をいっぱい作って
沢山の金を手に入れた
白いピアノも買ったし
ノーベル賞だって獲った

みんな不思議に思うだろ
悩みなんて一つもないだろうって
何処へいくにも顔パスで
入国審査も必要ない

最高の生き方をして
人に尊敬されて
伝説になってみたって
それは僕の欲しいものじゃなかった

愛を求めていたんだ
僕の最低な部分を
僕一人の事だけを
全部認めてくれるような

その白く長い指で
そっと頭を撫でて
僕が眠りにつく前に
眠ってしまうような
お前の愛情を必要としてた

僕は恋人のお陰で
やっとバンドを辞められた
そのバンドはなんだっていい
記憶に残るものだったら

今後は憧れのソロ活動
誰にも誤解されずに
白いピアノで小さな
うさぎのような音を出す

みんなあいつは終わったと
口を揃えて言うはずなんだ
せっかくの才能を丸ごと
ドブに捨てたようなもんだ

最高の生き方をして
人に尊敬されて
伝説になってみたって
それは僕の欲しいものじゃなかった

愛を求めていたんだ
僕の最低な部分を
僕一人の事だけを
全部認めてくれるような

その真っ直ぐな感情で
ほとんど溶け合うように
抱きあいながら心が
引き裂かれていくような
お前の愛情を必要としてた

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